「そろそろ…
本気になったかなぁーと。」


普段バカばっか言ってるから、いきなりこいつに鋭いことを言われるとぐらつく。


「本気…?」

「ああ。好きなんだろ?
だから家に置いてるんだろ?」

「……そうだな。」

「ついに認めやがった!!」

「認めるもなにも…。」

「理沙子ちゃんはなんて?」

「知るか。」

「は…?お前まさか…
まだコクってねぇの?」

「ああ。」

「好きなんだろ?」

「ああ。」

「じゃあ何で…」

「彼女が困惑するから。」

俺は彼女のせいにした。
確かにそれも一つの理由ではある。

彼女は俺を『男』という対象で見ているわけではない。

それは俺も感じてた。

温もりをくれる家族みたいな優しさを俺に求めている。

だから言えない。


好きだと言って彼女に拒絶されるくらいなら、

このままぬるま湯に浸かっていたい。


そう思った。