「唇は一番好きなやつのためにとっとけ。」



あたしが好きなのは先生だよ…

そう言えたら、先生はキスしてくれたのかな。

でも言えない。

その言葉は先生を困らせるから。

それに、あたしは戻るんだから。

かつていた場所に。あたしのいるべき場所に。


「寝よう。」

そう言って優しくあたしを抱きしめる。

ピタッと先生にくっついて

温かさを感じて

あたしは幸せに包まれて眠った。

もう二度と

こんな風に安心して眠ることはないのだと思うと涙が出た。

先生の胸の中で先生にバレないように…

あたしは泣いた。

朝が来ないで欲しいと、本気でそう思った。