傷だらけの僕等

【Satoshi side】

また彼女は髪を濡らしたまま出てきた。

「なんでお前は少し髪をタオルで拭いてから出てこないんだよ…
ほら、ちょっとこっち来い。」

「ごめんなさい…。」


ちょっと申し訳なさそうな顔をして、素直にこっちに来る。

彼女のタオルを使って髪の毛を少しタオルで拭いてやる。


「前にこうやろうとしたらお前、体びくってなったよな…。」

「そうだね。」

「もう平気なのか?」

「うん。大丈夫。」

「なんでなんだろうな。声もだけど。
なんでいきなり治るんだろう?」

「分かんない。」

「だよな。俺も医学勉強すれば分かんのかな?」

「医学の勉強…するの?」

「そんな暇ないって。
教師って結構忙しいんだぞ。」

「そうなんだ…。」