「山田、好きだよ。だから、あたし山田の夢を妨げることはしたくないんだ。」


大きな大きな夢。



それは、あたしにとっての夢でもあった。



「素敵な仕事だもん…あたしのためにダメにしてほしくない」



「…スースー」



「あたし引っ越すことは止めない。行かないでくれって言葉嬉しかったよ。仕事辞めるって言葉嬉しかったよ。」



だから、あたしはいつまでも我慢出来る気がする。



「ねぇ、素敵な俳優になって夢をちゃんと叶えて。そして、迎えに来て?」



それまで、待ってるから。


ずっと、待ってるから。


「別に山田のこと諦めるんじゃない…お互い、もっと大人になろう?」



そしたら、いつか不安もなくなって本当の意味で通じ合える気がする。



「それまで、待ってるから。さよならは言わないね?」



ベンチから静かに立ち上がる。



「またね、山田」



閉じたまま瞳に、キラリと光るものがあった。



「いつまでも…大好き」



あたしの思い伝わってるよね…?



またね…山田。