「一人で抱え込むなよ」



ポタリと落ちた滴に地面にシミができる。



「一人で泣くなよ」



ポタリ。



ポタリ…。



あたしの変わりに空が泣いてくれていた。



ここで泣いたら、もう山田元へは戻れない気がしたから。



だから、泣かなかった。



泣けなかったんだ。



「…大丈夫だから」



あたしはそう言うと、ライチを押し返した。