「はぁ…っはぁ…っ!」 いくら走っても走っても、山田は追いかけてなんか来ないのにあたしは思いっきり走った。 ドン…!! 外に飛び出ると、誰かにぶつかって尻餅をついてしまった。 「…ご、ごめんなさい!」 あたしは慌てて涙を拭い、立ち上がる。 パッと見上げると、哀しそうに眉を下げたライチの姿。 「………朱里」 あたしを呼ぶ声は、哀しく優しく泣き崩れそうになる。