「俺?」 「というか、冬馬しか居ないでしょ」 いつもの冬馬のほんわかした雰囲気に圧倒されつつ、あたしはコクン…と頷く。 今は一応撮影中な訳だし、プライベートな事なら、電話やメールでいくらでも対応できる。 だから、仕事関係の事かな…と予想していたんだけど。 あたしの考えを裏切るように、冬馬の口から発せられたのは… 「蘭、の事なんだけどさ…?」 「へ、蘭…!?」 「うん。蘭」 あたしが確認を取る為に名前を繰り返すと、冬馬が切なそうに微笑んだ。 .