「あゆ…」 その言葉と同時に、あたしの身体は貞永によってヒョイと持ち上げられ、ダイニングからどこかへ移動する。 不安定な揺れに、思わず貞永の服をギュッと握った。 「フッ…」 「貞永…?」 「いつもなら暴れてまで抵抗するのに、今日は大人しいんだな?」 意地悪く貞永は、あたしを抱きながら頭を撫でる。 その行動が、あたしに魔法をかけていく――― 「だって…」 「何だよ?」 「あたしもたぶん、貞永と同じ理由だから…」 “素直になる”という魔法を。 .