思春期の娘の前で、ナニ発情してるんですか、うちの父は。


そして、いつまで少女マンガのヒロイン気取りなんですか、うちの母は。




「という訳でちい!明日の晩飯はどっか食いに行くから、行きたい店決めとけよ」



「はいはーい」



「という訳で、俺は今からあゆを頂くとしますか」



「って、えええっ…!?ば…バカ!」




お父さんはジタバタ暴れるお母さんの腕を掴むと、満面の笑みを浮かべてあたしに手を振りながら、リビングを後にした。


そして、一人取り残されたあたし・貞永ちいは、いつもの通りにため息をひとつついた。




―――ああ見えて、うちのお父さん・貞永光輝は、人気俳優として芸能界を駆け抜けている。


もういい歳のはずなのに、外見は二十代そのもので、いまだに「イケメンランキング」に毎年入っているほど。


ドラマや映画に引っ張りだこのお父さんだけど、必ず八時までには家に帰ってきてくれる、あたし達家族思いな人でもある。




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