「何か食べていく?」

そう誘ったのは、私の方だった。

その場で、別れればよかったのに
病み上がりの体に
外食は酷だろうと
母親のレシピのスープを
エレナに居る時同様
狭いキッチンに2人並び
制作する。

何だか自然な光景

「俺も、味見する。」

ジェスが、私の手から
スプーンを抜き取り、
口に含んだ。

「やっぱ・・・母さんの味に
ならないよなぁ・・・
俺も、何度か作ったけど。」

同感である。

「微妙よね。
このレシピの適量って奴が
クセモノなんだよね。」

「でも、俺より、ディオナの方が
母さんの味に近いね。」

すっかり兄弟の会話。

「・・・でも、たぶん
俺の方が、エリスより上手いと
思うよ。」

「言えてる!!」

2人で笑い出してしまった。