「…顔、真っ赤」

フと笑う無邪気な笑みは殺人級に優しい。

あたしは両手で頬を必死に冷やす。今すぐ通常に戻れよあたしの顔。

だけど、そんな絶対命令はあたしの体に僅かの変化も起こさなかった。


「変なやつだな」



嫌みじゃない軽い口調で笑う岡道君のその独特のトーンにやられてしまう。


ああ、もう、いい。



「放課後、委員会。佐山にも伝えといて」



色素の薄い柔らかそうな髪がサラっと揺れる。覗いた八重歯が、その笑顔をいつでもプラスαにしてしまう。