熱した鱗を急激に冷やすのに、わざわざ湖に落とす必要などない。 レインの氷結魔法を使えば済むことだ。 湖に突き落としたのは鱗を冷やすためだけではない。 ヒビが入った鱗に、確実に水を入れるため。 「もう終いにしよう。獣兎」 獣兎の耳が反応し、ピクリと動く。 「やれ」 主人の命を受けた獣は、その牙を持ってして敵を食いちぎった―――