「そうねぇ……。きっとあの目には小さい魔物が住んでいて、クソガキの身体を乗っ取ろうとしているの! 『クソッ魔物め……鎮まれ! 鎮まるんだ!』とかいう展開にならないように、包帯を巻くことによって魔物の力を押えこんでると思うな。うん」


ねーよ。とツッコミたいが、病み上がりでツッコミ気力がないので黙って笑っていた。


どこをどう考えたら、そういう方向に行くのだろうか。謎である。


「じゃ、じゃあ、エナはどんな秘密だと思う?」


「やっぱり必殺技とかじゃない? 包帯を使って瞳に魔力を貯め込んで、包帯を取ることによって一気に解放。『この瞳を見た者は必ず死ぬ。永遠力暴風雪!』みたいな」


それもねーよ。と思わずツッコミそうになったが、馬鹿馬鹿しくなって代わりに盛大な溜息をついた。


ということがあり、レインの包帯に隠された秘密を暴くため、三人は真夜中にレインの寝室に忍び込んだのだ。


氷のベッドで眠るレイン。すやすやと心地よい寝息が聞こえる。


忍び足でベッドに近寄る。


月灯りで照らされた寝顔。睡眠時でも包帯を巻いている。


これは絶対なにかあるに違いない! と、テンションが急激に上昇するマルタを余所に、エナは淡々と包帯の結び目を解きにかかった。