しばらく歩き、三国くんに連れてこられたのは。


「ここ…?」


「そ。タダで練習するにはバッチリの場所だろ?…これ借りよーかな」


ショーウインドウに並ぶ何台ものキーボード。


その中の、ある機種の前で三国くんが足を止める。


最新式のキーボード。素人にはわからないようなボタンがたくさんついているんだけど、三国くんはそれをパチパチと一人黙々と動かしている。




ここは、有名な楽器店。


キーボードの上の天井からは、ご自由にお試し下さいのパネルが吊り下がっていた。