そりゃあ、そうだけど…



やっぱり不安だ。



記憶喪失の女のコを家に一人で置いておくなんて。




「ほら、もう遅れるぞ?行くぞ!有…」




「あ…あぁ。真菜、そしたら少し留守番よろしくな。すぐ帰ってくるからな。誰か来ても、出んなよ。電話も出るな。あと…」



「ほら、陣さんが待ってる…さっさと行きなよぉ。行ってらっしゃい」






「…行ってきます」





しぶしぶ、俺は鍵をしめ陣と仕事に向かった。



陣は一分でも待ち合わせに遅れるとすぐ怒る。


昔、俺が寝坊して五分遅れたくらいで一時間説教くらった。



だから、陣の前で決して遅刻は出来ない…