萌は、その事件を業務中に会社にかかってきた警察からの電話で知った。
会社が現場から近かったこともあり、すぐに警察官がやって来て、社内は騒然となった。
千晶と親しかった萌を、同僚たちが気遣ってくれた。
けれど萌は、それに対してお礼を言うことさえも、できなかった。
千晶が死んだこと。
崇文が死んだこと。
小山が偽名を使っていたこと。
そして、最後の崇文の電話。
何もかもが作り話のようで、映画を観ているのではと錯覚するほどに、現実味がなかった。
萌は、警察からの質問にも、
「何も知りません」
とだけ答えて、自分のデスクへ戻った。


