空調のない地下室は、ひどく寒い。

じっとうずくまっていると体が凍ってしまいそうだった。



どれくらい時間が経ったのか。

ごめんと言ってからずっと黙っていた小山が、咳をした。

その咳につられて、千晶はそっと顔を上げた。



すると、千晶の左手側にさっきまではなかった小さな紙袋が置いてあるのが目に入った。

崇文が出て行くときに置いていったようだった。

千晶はその紙袋には手を触れず、視線を前に向けた。



椅子に座っている小山は、首からかけたタオルに顔をうずめて、さらに咳込んでいた。



「……大丈夫?」

苦しそうな姿に、千晶の口から自然に言葉が出た。

意外な千晶の言葉に小山は驚いた顔を見せ、それでもすぐに小さな笑みを浮かべると、

「大丈夫だよ」

と答えた。