「何でもないの、ちょっとイヤなことが続いて…ごめんなさい」

『いや、いいんだけど…でも俺も心配だよ、今週ずっとおかしかったから』

「徹…」

『何かあったなら、話してくれないか』

「……」



それは、恋人なら誰でもそう言うだろう。

話して欲しい、と。

でも…―



「…ごめん、ほんとに、何でもないの」

千晶は、そう答えるしかなかった。

『…どうして?』

「え?」

『俺が、何かしたかな』