小山徹は、自宅マンションのソファに深く身を沈めて考えていた。

目は一点を見つめ、まばたきすら忘れていた。



(どの道を選んでも、自分を苦しめるだけ…か)

だとすれば、選ぶ道はひとつ。



【嘘】を、重ね続ける。



これ以外にない。

自分が生き残るには、それしかないのだ。

…そう、それしか。



(でももう、これ以上…)



小山は、きつく目を閉じた。

これ以上、罪を重ねることはしたくない。



だから千晶。

どうか気づかないでくれ。

思い出さないでくれ。

幼い日の、楽しかったあの頃を…―