レストランを出たふたりは、小山の提案で、会社近くの公園へ向かった。
「知ってる人がいたりして」
イルミネーションスポットとして社内でも有名なその公園に、誰かがいてもおかしくはない。
「そしたら小山さん、どうする?ごまかす?」
千晶は、歩きながら小山の左腕に自分の腕を絡ませた。
小山はやさしい顔で千晶を見下ろして、
「そのときは、白状するよ」
と微笑んだ。
公園に入ると、千晶と小山は思わず目を合わせて驚いた。
イルミネーションの迫力もさることながら、園内は、通常では考えられないほどの人出で賑わっている。
「毎年こんなふうなの?」
「去年まではもっと早い時間に来てたから…ここまで人が多いのは初めてよ」
千晶は毎年、萌とふたりで見に来ている。
とはいえ、仕事帰りという時間帯のせいか、ここまでの人出に出くわしたことはない。
(なるほど、このくらい遅い時間だとカップルで賑わうのね)
千晶は周囲を見渡した。


