終わることのない、礼子の間延びした声。
ついには、
『紙切れ1枚よりもぉ、人間同士のやり取りのほうが大事だと思いませんかぁ』
と言い出した。
(紙切れとは、契約書のことか?!)
仕事をするうえで、人間同士のやり取りなんかよりもずっと大事な契約書。
軽視されたのではたまらない、と千晶は拳を握った。
このままでは埒が明かない。
完全に頭に血が上った千晶は、
「今からそちらにうかがいます!」
と言って電話を切ってしまった。
―…そして、それから数時間が経過し、今に至る。
予定外のひと仕事を終えた車中の千晶は、朝よりもさらに苛立っていた。


