『だぁって、もう催事が終わって1週間ですよぉ?こっちはお客さんが絡んでるんですから、早くしてもらわないと困りますぅ』
(……ちょっと待てー!)
相手が礼子とわかった時点で、ある程度の奇抜な内容は予想したが、さすがに驚いた。
千晶はデスクの書類の束から、ひとつのファイルを取り出して片手で器用にめくった。
――【商品の受渡について】
アルフレッド・グレインの作品は会期後の発注とし、入荷次第、株式会社アートフィール・担当中西氏に引き渡す。
なお、入荷の目安は会期後2~3週間とする――
「…としっかり明記されていますが?」
まだ1週間しか経っていないのに、入荷するはずはない。
『……』
電話の向こうからの反応はなかった。
思ったよりも簡単に済みそうな話だと千晶が胸を撫で下ろしていると、
『でもぉ』
礼子は、さすがの千晶にも予想不可能の言いがかりをつけてきた。


