アリスズ


 アディマたちは、西へと向かっていた。

 太陽の沈む方だ。

 最初の旅の時は、太陽が昇る方に向かっていたので、このまま進めばまた梅のいる領地に戻れるのだろう。

 その前に。

 神殿から、ひとつ西の領主の屋敷に立ち寄ることとなった。

 そこには──シャンデルがいるのだ。

 領主の挨拶の後に現れたシャンデルは、まずアディマの姿に驚いていた。

 頭では分かっていたのだろうが、驚かずに済むという話でもない。

「神殿までお供できず、本当に申し訳ありませんでした」

 深々と腰をかがめる彼女の足は、もう問題なさそうだ。

 そんなシャンデルが、次に驚いたのは──おまけの二人である。

 あ、あは。

「お久しぶりです…」

 景子は、おそるおそる話かけた。

 前よりしゃべれるようになりましたという意味と、また戻ってきちゃいましたという意味で。

「ああ…そうですの」

 ツン、とシャンデルは一瞥しただけで、あらぬ方を向いてしまう。

 その次の瞬間。

 ダイが、くっと一笑した。

 笑わずには、いられなかったように。

 すぐさま、シャンデルに睨まれて、ダイは唇を閉じた。

 何か、ダイにしか分からない事情でもあるのだろうか。

 景子が「?」になっていると、アディマがこう教えてくれたのだ。

「シャンデルは、二人がいなくなってから、すごく気落ちしてね…再会出来て、あれでも喜んでいるんだよ」

 言葉に驚いて、彼女はシャンデルの方へと視線をブン投げてしまった。

 何を言われたのか分かったのか、シャンデルが一瞬で耳まで赤くなる。

 目だけ、一生懸命景子を睨んでいるが、まったく迫力がなかった。

 しかも、告げ口した相手がアディマなのだから、彼を睨んだり責めたりできるはずもなく。

 ププププイッ!

 顎で、大きく弧を描くので精いっぱいのようだった。