黒の三日月

次にもある可能性はないとは言えない。

次にもしも会った時は正体を突き止めて、そして力付くでも逃げだして見せよう。

毎日用心して帰ればきっとさっきみたいにパニックにはならない……筈だから。

私は深呼吸をしてから、誰にも襲われないようにと走り出した。

少し休んでは走り出し、また休んでは走り出す。そんな事を繰り返しながら。



あれだけ散々酷い事が起こったのが嘘のように、何事もなく迎えてしまった本番当日。

何だか嫌な予感がする。台詞が飛ぶくらいならまだアドリブが利くから良いとしても、

それ以外でも何か起こる気がして怖い。