黒の三日月

ヒイラギはと言えば何も聞こえていなかったかのように

掴んでいた枝を外に放り投げる訳でもなく、かと言って教室のゴミ箱へ捨てる訳でもなく。

傍の壁へと立て掛けた。何かに使うつもりなのかは定かではない。

ただその態度をされてしまうと何故か妙に“謝って損した”って気分になる。

不思議なものだ。


「それじゃ、早速だけど簡単にフリだけやってみようか」


桜井さんのその一言でさっきの騒動はなかったかのように、皆テキパキと行動する。

本番前々日だからなのかどうかは分からないけれど。

まずは主人公がヒロインの失った物を取り戻すために旅立つシーン。

そのきっかけを作ったのは魔法使い役の私。えーと確か、此処だったよね?

台詞が追加されたのって。