黒の三日月

隣にいる倉山にでも渡してしまえば良いのに。


「……それって間接キス?」


ポカンと見ていた倉山の思いがけない一言が頭の中で響き渡る。

……間接、キス。…………嫌、それだけは絶対に嫌!

私の顔はきっとみるみる内に真っ赤になってしまったんだろうな。

何だか恥ずかしくなってきた。何もしていないのに。

ヒイラギはそんな事考えてもいないんだろうけどさ。

ヒイラギとの間接キスなんて全力で拒否する。


「先帰る! ケーキは倉山が食べて良いから! お金これで足りるよね!?」


財布から取り出した千円札を机の上に叩くように置いて、

私は誰にも顔を見られないように顔を隠して喫茶店から出て行った。

まだ店内にいる2人は一体何をしているのだろうかとか、そんな事はどうでも良く。