黒の三日月

ほんの一瞬の事だから、かわすのだって難しい。

私の制服は黒や茶色の色で汚れてしまうだろう。

そう覚悟したのに、私には1滴も降り注いではいなかった。

と言うか、カップとかが倒れる音ですら聞こえなかった。

何が起こったのかが全く分からない中で、倉山が驚いたかのように一言を漏らす。


「夜見……お前、曲芸師か何かで?」


倉山とヒイラギの座っている位置が入れ替わっているだけではなく、

ヒイラギの手には今倒れようとした3つのカップが握られていた。

入れ替わっているだけでも驚いたのに、

倒れてきそうになったカップを受け止めるなんて。倉山の言っている事も納得出来る。