黒の三日月

倉山にも聞こえるようなその声は、

私と倉山を訳の分からない世界へと連れて行くのには十分すぎたが、

次の瞬間には疑問も消えてなくなった。


「台本の台詞……?」


少し考えれば分かる事だ。目があったのは偶然の事。

その時丁度ヒイラギはその台詞を音読したに違いない。タイミング良く。

ていうか私もやらないとヤバいかも。

慌ててカバンから台本を取りだそうとしたそんな時だった。


「お待たせしました。特製ショートケーキ3つです」