黒の三日月

倉山がケーキが好きだなんて初めて知った。

でも1人で来ても恥ずかしくない気がするし、

勝手に頼まれたのはイラッとしたけどケーキは嫌いじゃない。むしろ好きだ。


「…………」


チラッとヒイラギの方を見やれば、彼は台本とにらめっこを始めていて。

あんなに興味がなさそうな割には真剣なんだな、とか思ってしまう。

じっと見てしまっていたからなのか、ヒイラギが私のボソリと低いトーンでこう告げた。


「気をつけろ」