黒の三日月

焦るかのように言う倉山は、ヒイラギの隣に座っていた。

私はヒイラギの目の前なんて嫌だったから、倉山の目の前に座っている。

そもそもどうしてこんな場所に来たのかが分からないんだけどな。なんで?


「ご注文はお決まりでしょうか」


さっき私達をこの席へ通したウェイトレスさんとは違う、

ショートヘアで小柄の女の人が注文を取りに来る。

まだ注文が決まっていなかった私が“もう少し待って下さい”って言おうとしたのに。


「特製ショートケーキ3つで。
飲み物はホットコーヒーをミルクと砂糖付きで……2人は?」


倉山がもう決めていましたと言わんばかりにウェイトレスさんに注文をする。

注文を促されて私は思わずホットの紅茶と言っていた。