「本番まで時間ないからハイスピードで行くよー」


あれから1ヶ月半。気付けば5月も約2週間過ぎていた。

文化祭の出し物である劇の練習もヒートアップしている。

貰った台本によれば、この話は好きな女の子を助ける為に悪の魔法使いに立ち向かう男の子の物語。

女の子が羨ましいと読みながらに思う。女の子には助けてくれる人がいるのに、

私には誰も助けてくれる人なんていなかった。いるのは今目の前にいる……。


「夜見君、もう少し大きな声でそこは言って貰える？」


私を悲しみに突き落とした死神だけ。何で青い目だと皆に見えているんだろう。

不思議だ。ていうか、役にぴったりだよね。ヒイラギは人に悲しみしか与えないから。