黒の三日月

もしかして夜見君って物凄く気配とかには敏感なの?何だか凄いな。

でも今此処で逃げたら駄目だ。聞こえないフリをしよう。

すると夜見君がガラリと扉を開けて、廊下にいる私の目の前に立ちはだかった。


「言う事を聞け。でないと殺す」


その言葉はさっきよりも低い声で、冗談ではなく本気で言っているよう。

私は此処で初めて寒気を覚え、彼を“怖い”と心の底から思った。

本気でどかないと、と思ったその時だ。

彼の瞳の色が一瞬だけ金色に見えたのは。やっぱり彼は……。