ボロボロになったヒイラギは満足感に満ち溢れた、優しい表情のまま眠っていた。


「ねえ、嘘でしょう?　何か言いなさいよ!」


軽くヒイラギを揺さぶっても反応はない。今日は嘘だらけだ。本当に。


「ヒイラギ、君の勝ちだ。そして岩代、もう花嫁になる必要なんてないんだ」


お兄ちゃんの墓石に飾られたコスモスとかすみ草がゆらりと風で揺らいだ。

まるでお兄ちゃんも悲しんでいるかのように。静かに泣く倉山とサトル。

そして私は声が枯れるほどに泣き叫んだ。その泣き叫ぶ声は空に溶けて消えて行った。

私、ヒイラギに言っていない事があったのに。それが言えなかったのがとても悔しい。