黒の三日月

俺はそれを受け入れ、そして思わず謝った。そしたら玲は怒るどころか笑っていて。


「遅かれ早かれ、僕は死ぬんだなって思っていたから。君を恨むような事はしないさ。……ただ」


 笑っていた玲の表情が曇った。未練が残っていたとでも言うのだろうか?


「もう紗千に会えないんだなって。それが悲しいかな。
父さんや母さんがいるとはいえ、もう僕の手で紗千を守ってやる事が出来なくなった。
あの子は泣き虫で、寂しがり屋だから」


その時に俺は思った。もし許されるならば玲の代わりに俺がその女を守ってやりたいと。

それを上手く言葉に出来ず、玲に伝えるのも一苦労だったけれど玲はそれを承諾してくれた。


「あの子が泣いている時だけでも良い。隣に座って泣きやむのを待ってあげて欲しい。
あの子がずっと幸せでいられるように支えてあげて」