黒の三日月

「だから頼まれたんじゃないと言っている。
……俺は、何処までも運命に抗うと決めたんだ。この女を王の花嫁にはしない。
……逃げ切って見せる」

「そうか……予想はしていたんだけどな。やっぱりヒイラギはヒイラギだ。
……力付くでも岩代を渡してもらうからな」


その倉山の言葉を皮切りに、倉山はヒイラギへと鎌を振りかざした。

ヒイラギもまた持っていた鎌でそれに応戦する。

何度も何度も鎌はぶつかっては離れ、ぶつかっては離れ。

高い金属音が空にまで届くんじゃないかって位に響き渡る。

その光景を私はただただ見ていた。するとヒイラギと僅かだけ目が合った。

その目が訴えている事は私にもよく分かった。……逃げろ、でしょ?

ヒイラギが何をそんなに必死に私を守るかなんて分からない。

でも彼が逃げ道を作ってくれたならば。私はその道を走ると思う。

ヒイラギに背を向けて、私は真っ直ぐに走り出した。何故か彼の無事を祈りながら