黒の三日月

「優衣、ごめんね。大嫌いな人との出会いを思い出しちゃったから、ちょっと辛くなって……」

「良いよ、それくらい。気にしないで」


正しく言えば、大嫌いな人の出会いも勿論そうだけど、

死んでしまったお兄ちゃんとの思い出までもが蘇り、

もうこの世界でお兄ちゃんに会えない事を改めて思い知らされたのもある。

優衣は私にお兄ちゃんがいて、もうこの世界にいない事を知っていても、

その大嫌いな人に命を奪われた事までは知らない。

というよりかは言った所で信じてくれないだろうしね。例えそれが大事な友達であっても。