黒の三日月

「アキラ……」


倉山が出てきて初めて、ヒイラギが顔色の悪いまま力なくそう呟いた。

そっか。倉山の下の名前、“章”だったっけ。

……なんて、暢気な事を考えている場合じゃない!

「全て説明しなさいよ! ヒイラギも倉山も、私に分かるようにきちんと!」


私1人だけ何も分からないまま置き去りにされるのは相当気分が悪いと言う物であって。

最初に口を開いたのは倉山だった。


「岩代だけ分からない、って言うのも確かにおかしいか。
だったら全てのカラクリ……って言うほどでもないけど疑問に答えるか」

「やめろ! 知ったらそいつは……」


倉山があっさりと全ての事を話そうとするのを、ヒイラギは必死に止めようとしていた。

それでも私は全てが知りたくて。