黒の三日月

そこでチャイムが鳴って2時間目が始まった。





「いーわっしろっ!」


幾ら大切な日であっても時間と言う物だけはあっという間に流れて行く物で。

気付けばもう5時間目までが終わっていた。残すは後1時間だけ。

その休み時間に突然声をかけて来たのは倉山だった。一体何の用だと言うのだろうか。


「何か用なの?」

「今日って誕生日だったりする? 朝に何か色々貰っていたから。
聞こうと思ったらこんな時間になって悪いけど」


私が首を縦に振ると、倉山は何か渡せる物はないかと言わんばかりにポケットに手を突っ込んで何かを探っていた。

そして何かを見付けたらしく、それを私に差し出した。