黒の三日月

そんな私の気持ちなんて誰も分からない。

クラスの皆が達が目を輝かせている中で、私だけが目を輝かせていなかったに違いないだろう。

黒板には“夜見柊”と、彼の名前が大瀬先生の手によって書かれていった。


「今日からこのクラスの仲間になる夜見柊(よみ・ひいらぎ)君だ」

「夜見柊です。よろしくお願いします」


夜見と名乗った彼はそのまま1番後ろの空いている席へ座って行った。

クラスほぼ全員の視線が彼に向けられる。確かに美少年と言えば美少年。

私もあの時の男の子とそっくりでなければ、

他の子達と同じように熱い視線を送っていたかもしれない。

でも私が送った視線はそれとは全く違う、睨むような視線だった。