ふんわりとした感覚に意識が浮上してくる。





少し寝起きの悪い私は、その気持ちよさにもう一度深い眠りにつこうと、身を捩った時にハッと目が覚めた。





「悪い、起こしてしまったな。―――ただいま。」





目を開ければ、声も顔も全部本当の樹さん。





嬉しくて、驚いて、“おかえりなさい”って言いたいのに金魚みたいに口はパクパク動くのに声が出ない。





「おいで。」





樹さんに撫でられていた頭を胸板に引き寄せられ、手を伸ばしギュッと抱き着く。





「ただいま、まりあ。」


「樹さん……。」


「まりあ。」


「おかえり…なさい。」





やっと言葉が出たと思ったら、涙も一緒に出てしまった。





「寂しかったの。」


「うん。」


「寂しくて泣いちゃったの。」


「うん。」