俺には別れたい女がいる。

 女という言葉を使うのさえ勿体無い程、不細工で醜い奴だ。

 何故そんな奴と付き合っているかと云うと、そいつには何度となく告白されていたのだが俺はその度に断っていた。しかし友達との酔った勢いで罰ゲームをした結果、付き合う事を承諾する羽目になったのである。

 そいつの名前は重子(しげこ)。名前まで可愛くない。
 
 重子には双子の妹が居り、現在二人で暮らしている。
 妹の名前は重美(しげみ)。

 祖父が重(しげる)と云う名である事から、祖父に育てられた双子は名前に重と云う文字がつけられたのである。 

 どうせ双子なんだから、重美も不細工だろうと思っていた。しかし重子に紹介された妹の重美は、双子だというのに全く似て居らず何故か飛びきりの美女でスタイルも抜群だった。ニ卵性双生児だと云う。

 そこで俺は重美に一目惚れした為、重子とは別れたくても別れられなくなったのである。重子と別れてしまえば重美と会う機会がなくなってしまうからだ。そして俺から振るより、重子から振られた方が重美に対し印象が良いと踏んで、幾度となく重子が俺を嫌う様に仕向けてはいるのだが、一向に重子は別れ話しをしないのである。

 そんなある日、重子に自宅へ泊まりに来ないかと誘われた俺は、重美と会える喜びで一杯になった。重子は酒でも飲ませ、さっさと寝かせればいいや。その後は重美と二人きりになれる、とにやけた。