空港に着くとたくさんの人達で溢れ返っていた。


亮佑とパパが並んで前を歩く。

その後ろをママが歩き、少し離れてあたしが後を付いて歩いた。



「じゃあもうここで大丈夫です」

え?

「そうか?」

「はい。短い間でしたけどお世話になりました」

うそ。もう?

「いーえ。2ヶ月間楽しかったわ」

「うん。こちらこそありがとう」


どうしよう。

何か言わなきゃ。

言葉がなんにも出てこないよ。





「空。」

そう呼ばれた途端に涙が溢れた。


我慢してたのに。

泣かないって決めてたのに。


いきなり名前呼ぶなんてずるいよ。



もう名前を呼ばれることなんてないと思ってたのに。



優しい顔で、優しい声で。

でもどこか困った顔で。




「大丈夫か?泣いてるけどいつものトラウマか?」

「やだパパ違うわよ。空、私達先に車に戻ってるから」

「あ、うん…」

「え?ママ?」

「じゃあ亮佑君。元気でね」

「はい。ありがとうございます」



ママはにこっと笑い、1人状況を把握出来ていないパパを連れて、今来たばかりの道を戻って行った。