「何で嫌いなの?」

声が震えた。

今にも泣いてしまいそうな声がだった。


「名前を自慢されたんだ。『空っていい名前でしょー。亮佑って普通だね』って」


そういえばトラウマになる前は自分の名前大好きだったかも…。


「ジャングルジム登って空目指してる時に言われて、イラッとして後を着いてきてたお前を蹴飛ばした」



ひどいよ……。


「『空なんて全然ダセー!!』とか叫びながら。だから原因俺なんだ」



「ひどいね…。」

「うん…。」



それしか言葉が出てこない。


悲しげな顔で話す亮佑になんて言えばいいのかわからない。


あたしも嫌いって言えばいいのかな。

それでも好きって言えばいいのかな。




涙はいつの間にか溢れていた。