「じゃあ何だよ」

そう言って突然抱き締められた。


赤木君はあたしが泣くといつも抱き締めてくれるね。

この腕の中は暖かくて、赤木君の匂いがする。

落ち着く。



でもだからって泣いてる理由は言えないよ。

言ったって困らせるだけだし。

どうしてほしいかもわからないし…。


「ごめん大丈夫。ありがと」

涙も引っ込んだし離れようと腕を伸ばした。

「大丈夫じゃねぇよ。そうやって溜め込むからトラウマとか出来んだよ」

伸ばした腕は赤木君の力には逆らえず、またあたしは赤木君の胸に顔を埋めた。

「ちゃんと言え。」

真っ直ぐなその言葉はあたしに話をする決心をさせた。



赤木君から離れて顔を上げた。

それだけであたしがどうするのか伝わったみたいで、今度は手を離してくれた。