ていうか、動けないよあたし。

「亮佑さーん」

「そら…」


だから名前呼ばないでよねー。

「可愛い…」



え?

なに!?


「何言ってるの!?」

「……。」

返事はない。



赤木君の顔を覗き込むとまぶたはしっかり閉じていた。


寝ぼけてんのか!

思わず心臓が飛び跳ねたじゃないか!



もうDVDはいいや。

そんなことより一刻も早くこの場を離れないと。


赤木君から離れないと。

心臓がドキドキいっててヤバイ。



赤木君の肩を向こう側へそっと押して、あたしは部屋を出た。



可愛いってなんだよ。

意味分かんない…。