その瞬間亮佑の行動の意味がわかった。




「亮佑!」


そう呼んだのを合図にしたかのように前に進み出す。



何も言ってくれない。

『待ってろ』そう言って欲しかった。



待っててもいいんだって。

好きでいてもいいんだって。




亮佑のばか。




そこでもう一度追いかければよかったかな。

でもあたしにはこれ以上亮佑を引き止める言葉が見つからなかった。




亮佑はそのまま一度も振り返ることなく人混みの中に消えていった…。