あたしは走って亮佑の背中に抱きついた。


迷惑なことしてるって分かってる。


でもやなんだもん。

行かないでよ、亮佑…。



「空…。」


「行っちゃやだ」


今まで絶対に言わないと思ってたのに、いざ行ってしまうと思うと言わずにはいられなかった。



「あたし1人置いてかないで…。男性恐怖症治してくれるって言ったのに。まだ治ってないよ…」

「何言ってんだよ。今男に抱きついてんじゃん」

「亮佑だからだよ」

「大丈夫…。俺に出来るなら他の奴にだって出来るようになるから」

「ムリィ」

「空…。」


亮佑は振り向いてあたしの涙を拭いてくれた。


「空、大丈夫だから。頑張れ」



頷く気にはなれない。


他の男の子と仲良くならなくたっていい。

亮佑がいてくれたらいいんだもん。



あたしは大きく首を振った。

すると亮佑は困った顔をする。



困らせたい訳じゃないんだよ。


そんな顔しないでよ。