――風の音が聞こえる。 草木がざわめいているんだ。 「……?」 それにしても、なんだかうるさいくらいに聞こえるのは、気のせいだろうか。 青年は重い瞼を開けようとして、しかし力が入らず諦めた。 とじる前にかすむ視界でやっと見えたのは、青空と、木々。 「……そうか、崖を滑り落ちたんだった…。」