「神谷」 その声で名前を呼ばれると胸がキュウウと締め付けられて苦しくなる。 2人きりの放課後 それだけで嬉しいよ 欲張っちゃ駄目 お願いだからドキドキ治まってよ 「神谷」 樋口の手が私の肩に触れた。 ビクッてしてしまう。 振り返ってみたらやっぱり樋口はすぐそこにいて、私はすぐに目をそらした。 「聞いてくれる?」 嫌聞きたくない 樋口の声なんて聞きたくない 聞きたくない 「……聞きたい」 私の口から出た小さな本音に、樋口は笑った。 「あのな」