「なんて答えてほしい?」


一年目の記念日。

五時間待ち惚けの私がした質問に、彼奴はそう答えた。

困ったように、無理矢理笑って。

だから、その日から私は、その質問をやめた。


「ごめんな……茉莉。」


どちらも選べないのはわかっている。

むしろ、比べても選べないほどの場所に私を置いてくれていることが嬉しかった。

だから、ひとりの記念日も、たいしたことじゃない。

疲れて立ち止まったとき、側に居れたらそれで良い。

彼奴と付き合い始めてもう五年。

三つ年上の彼奴は、いつも前を向いて走っている。

そんな背中を見ているのが好きだから、今日もひとりで大丈夫。